バックナンバー 2016年 盛夏号
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1.熊本地震の復興はまだ時間が
― 健康福祉委員会で熊本県を訪問 ―

 中村議員が所属する府議会・健康福祉常任委員会は8月22〜23日、熊本県を訪問しました。視察先は熊本県の医療の拠点である熊本赤十字病院、熊本大学病院で、今回の視察調査内容は、
(1)災害医療
  1. 震災直後の災害医療の実態
  2. 災害医療現場での課題は何か
  3. 全国からの医師・看護師らの応援体制はどうであったのか
  4. 阪神淡路大震災以後、災害医療はどう変わったか
などです。
 さらに、
(2)今日の高齢者の「嚥下障害*1」が相当増加していることから、これに取組む担当医師から現状と課題を聞く
 *1 嚥下障害 「物を食べる」というのは、食べ物を「口に入れ」「噛んで」「飲み込む」一連の動作で、嚥下といいます。しかし、飲み込むとき、普通は食道へ流れていくものですが、一部を気管へ流し込んでしまうことがあります。この障害によって、特に脳梗塞や筋疾患などが高い率で起こります。また、高齢者の肺炎のかなりの部分は、嚥下機能の低下による誤嚥によって引き起こされるともいわれています。

(3)赤ちゃんポストで有名になった慈恵病院の具体的取組と児童虐待・特別養子縁組などの実態、子どもの貧困対策としての子ども食堂の運営、さらに熊本乳児院では赤ちゃんポストなどを通じて入所している子ども達の現状などを調べることです。
 調査内容の詳細は別にご報告しますが、空港到着後視察が終了するまでを順に写真でご報告します。
 中村議員らは伊丹空港から熊本空港へ向かいましたが、熊本空港に着陸する寸前、機内から見える空港周辺の住宅の屋根にはまだ相当のブルーシートがかけられていました。座席が通路側だったため、残念ながら写真を撮ることが叶いませんでした。
 議員団はマイクロバスで移動しましたが、車窓からは家屋の倒壊や道路の損壊などがすぐに飛び込んできます。


民家が傾いたままで放置

民家が傾いたままで放置

地震で橋も傷ついたが、道路の地盤が1m程下がり緊急工事がされていた

この体育館の中には今も多くの避難生活を続ける人達がいる

赤十字病院の中島副院長が災害医療の説明

中島副院長は、「今回の地震で感じた一番の問題は避難場所の確保と運営だ」と指摘。阪神・中越・東日本などの大地震を経てきたのに、いまなお避難場所は全く変わっていないことは問題だと指摘された。(写真に写っているのはヨルダンのテント)

熊本大学での嚥下障害の説明

人の呼吸と食べ物がのどを通る際の仕組みを説明

熊本乳児院の傘(からかさ)院長が乳児院の課題や取組みを説明

乳児らの体温・呼吸・心拍数などを知らせる機器がベッドのマットレスの下に設置され、異常がすぐに知らされる

こども食堂の説明

赤ちゃんポストの説明をする武田看護部長

空港へ向かう途中車窓から熊本城の被害現場を見る
 写真でもお分かりのように、空港周辺では至る所に倒壊した家屋が見られ、地震の大きさが伝わってきます。

2.松井知事に提言と要望

 民進党議員団として中村議員は8月16日、松井知事に対する「平成28年9月議会、平成29年度当初予算に向けての提言・要望=以下、夏の提言」を提出しました。(この日は知事不在のため、栄野政策企画部次長に)  今年夏の提言は、8分野・53項目で構成しています。8分野は
  1. 府政の信頼を築く
  2. 平和と人権・自治を尊重する
  3. 子ども・女性に笑顔を
  4. 福祉・医療の充実
  5. 人を育てる教育
  6. 人を育てる教育
  7. 勤労者・中小企業・大阪を元気に
  8. 安全なまちを
でまとめています。
      提言・要望の全文<PDF形式>

 この8分野・53項目の中で、中村議員は特に強く主張したのは、
  1. 財政規律をしっかりと守ること
  2. 保育の充実では、最近の動きは待機児童の解消のための「量」の拡大ばかりが議論され、保育の質や保育の形態などがおろそかになっている
  3. 社会福祉の分野では、人材の確保と、施設における虐待などへのしっかりとした対応が進むよう、施設への抜き打ち検査などを整える
  4. 私学助成では、私学の58万円のキャップ制度の見直しを行う
  5. 国家戦略特区では、例えば、民泊問題などでは、受入れをしやすくする動きが目立つが、そこに住む住民の思いに対応できているとは思えない
  6. 都市インフラの老朽化対策のため、今の予算枠だけでは困難だ
と、指摘しました。
 さらに中村議員は、「昨年の大阪市を廃止し特別区をつくる、いわゆる都構想=政令市廃止・特別区設置問題が、住民投票で決着したはずであるのに、またまた『副首都』というオブラート表現で甦らせようとしている問題については、あえて今回の提言・要望では触れない。別の機会に譲る」としました。

3.9月議会に向けた要望受けなどが続く

 大阪府議会は9月8日〜9日、政務調査会を開き、知事が9月定例会に提出する補正予算案や各部局が実施している事務事業や計画中の主要な事業の説明を行います。9月定例会の予定は前半が10月25日まで、その後、決算審査などを経て12月20日に閉会する予定です。 この予定に合わせて、いま府議会の各会派に対し、各種団体などから様々な要望や議会請願の署名人になっていただきたいという申入れが出てきています。
 この取組みは毎年行っているもので、新年度の予算が可決され、これに基づいて事業計画が立てられ、一定の方向性が決まった段階で、地元府議団に説明を求めたものです。
 7月末には中小企業家同友会、8月に入ってからは大阪腎臓病患者の協議会が、さらに難病連、連合関係の労働組合などと、連日要望受けが続き、中村議員は、「会派としては以前のようなわけにはいかないが、精いっぱい取組む」と答えています。

難病連の代表から要望書を受取る

4.枚方土木事務所・警察などと意見交換

 中村議員ら枚方市選出の府議会議員は7月14日、枚方土木事務所・交野警察署・枚方警察署をそれぞれ訪問し、平成28年度事業の取組みなどの説明を受けました。
 この取組みは毎年行っているもので、新年度の予算が可決され、これに基づいて事業計画が立てられ、一定の方向性が決まった段階で、地元府議団に説明を求めたものです。

★交野警察署
 交野警察署では、所長から最近の主要な出来事や交通事故、街頭犯罪の状況などについて説明を受けましたが、驚くことに、「特殊詐欺」と言われる、いわゆるオレオレ詐欺という事件が、一時期、交野警察署管内は全国で一番被害が多かったとのことです。
 署長は、金融機関などにも相当な協力を要請して効果を上げてきたが、田園の中の住宅街などでは、都心部と違ってなかなか予防が難しいと語りました。そのため、警察署の入り口、トイレなど多くの目立つ場所に写真のような特殊詐欺に気をつけてほしいというポスターが貼られていました。


交野警察署ではこんなポスターが見られる

★枚方警察署
 枚方警察署内では、所長の挨拶の後、副所長が説明。凶悪犯や粗暴犯、風俗犯などの刑法犯認知件数が軒並み減少しているものの、車上狙いが対前年30%、自動車盗が55%の増加と、極端に増加していることが報告されました。
 中村議員は、証拠書類の取扱いなどで問題を起こし、新聞などでも大きく取上げられたが、枚方署などは問題整理のための庁舎対策ができているのかなどを質しました。

★枚方土木事務所
 挨拶の後、それぞれの担当課長らから、今年度の事業などの説明を行いました。

  1. 新名神高速道路事業
  2. 新名神の関連アクセス道路事業
  3. 枚方藤阪線整備、交野久御山線歩道設置などの道路事業
  4. 連続立体交差事業
  5. 穂谷川・船橋川などの河川事業
  6. 香里園町の急傾斜地対策
  7. 交通安全対策事業
  8. 山田池公園整備事業
 これらの事業説明の後、意見交換を行い、中村議員は、「渡架橋問題では地元住民団体などから、厳しい声が出されている。新名神と渡架橋は重要な事業で早期の完成が待たれるが、地域の悩みは当然のことだ。真摯に耳を傾ける必要がある。一地域の声だからと、要望・苦情は聞くだけで、具体的な対応はしないという姿勢は許されない」と、強く指摘しました。
 土木事務所長は、「ご指摘の点は承知している。やはり、対応に問題があると思う。しっかりと対応していく」と語りました。

交野久御山線の段差解消と歩道設置の工事現場
(段差は約1.5mもあります)


5.公衆衛生研究所は直営でこそ真価が発揮できる

 大阪府立公衆衛生研究所(公衛研)は、府民の健康と生活の安全を守るために様々な試験・検査、調査・研究、情報の収集・解析・提供を行っている極めて重要な研究所で、都道府県は必ず1ヶ所設置(政令市は任意)しなければならないとされています。
 この公衛研は大阪市の環境科学研究所(環科研)と統合するという方針が示され、府議会では平成25年に地方独立行政法人にするための議案が可決されましたが、大阪市側では可決されず、具体的に前へは進みませんでした。それが今年3月の大阪市会で統合案が可決されたことから、今回、法人化の準備経費として約5千万円の補正予算案が出されました。
 5〜6月の定例会では、委員会に付託して議案を審議する慣例は余りありませんでしたが、中村議員らは「しっかりと議論するためにも委員会を」と、開催を求めました。
 中村議員は委員会で、
  1. 大阪市会で可決されはしたが、7項目の附帯決議が付けられている。決議の内容は極めて重要なものばかりで、確実に担保できるまでは法人化を止めるべき。
  2. 危機事象発生時や市長が必要と認める時は市長の指示のもとに対応することが求められており、独法本来の趣旨から外れる。
  3. お隣の京都市・京都府は同一場所で直営だ。また独立行政法人にしようという都道府県はどこにもない。
  4. これまで、一元化のため、すでに3億円以上の予算を使っており、大阪市会では「ぽったくり予算だ」と厳しく指摘されている。
  5. 新法人の機能や規模に適した施設のあり方を検討している中、まだ場所も決まっていない段階で来年4月の法人化だけを急ぐのは拙速だと、質問しました。
 これに対して府は、「大阪市会で関連議案が可決されたことを受け、速やかに進めていきたい。施設のあり方についても、統合効果を最大限発揮していく」と、中村議員の指摘などには否定的な答弁を行いました。
 

松井知事に質問する中村議員(左側の手前から3人目が知事)
(電光掲示板の数字は中村議員の質問時間を示している。丁度1分経過)


 松井知事は最近、大阪の公衛研を東京都の「健康安全研究センター」のようにしたい、特に「エボラ出血熱が東京でしか検査できないのを大阪でもできるようにしたいからだ」と理由付けをしています。しかし、東京都のセンターはP4に位置付けられているエボラ出血熱を取扱うことはできません。いま可能なのは国立感染症センターだけで、東京も大阪も同じP3です。松井知事は現場の状況を十分には把握していません。
(P3、P4 というのは、バイオ・セーフティ・レベル BSLのこと)

中村議員の質問

 松井知事がエボラにも対応できるようにと言われた。そして大阪と東京を比べると雲泥の差だとのこと。具体的にどう違うのか、事務方はどう把握しているのか。

答 弁

 東京都は研究所の中に監視業務を担われている。地方衛生研究所と行政処分の監視を担っている。大阪にはこれがない。

 この答弁でも明らかなように、東京都との違いは「監視業務」ということです。これは保健所が流通している食品などを収去し検査をすることなどで、公権力の行使そのものです。そして、これは東京都のように直営でなければ実施することはできません。そのため、中村議員は東京型をめざすなら、独法化しては不可能だと指摘しました。
 さらに中村議員は、大阪市会で付けられた附帯決議について質問しました。

中村議員の質問

 附帯決議は、市民の命・健康を守れるよう人員・予算の十分な確保、これまで以上の機能強化などがあり、全て重要な事項だ。どのように反映するのか。

松井知事の答弁

 大阪市の仕組みづくりだが、タスクフォースでしっかり協議するよう指示を出した。

中村議員の質問

 附帯決議は完全にクリアできると理解していいのか。

松井知事の答弁

 協議を指示している。附帯決議の重さも理解している。

中村議員の質問

 完全にクリアできるとは答えなかったが、クリアできるように精一杯努力するということで理解したらよいか。

松井知事の答弁

 そのとおりだ。

 このように、知事は附帯決議を完全にクリアできるとは言わなかったものの、最大限努力するという答弁を行いました。
 中村議員は、「知事は十分に中身を理解していないように思う。もともと都構想が出てきたとき、大阪市が運営している環境科学研究所は大阪市を5分割してしまえば、運営が不可能で、大阪府と統一的に運営するという考え方が知事・市長から出されたものだ。だから、前提は崩れているし、これまでから大変なお金をかけてきたものがどれだけ無駄になってしまうのか。十分に反省するべきだ」と述べるとともに、近く、東京都の研究センターがどのようなものかを視察したいと語りました。
 

6.森林環境税での事業が始まる

 中村議員らが「今のままでは大阪の森林がダメになってしまう。また、少し強い雨が降れば近い将来、土砂災害などを引き起こし、大惨事をもたらす恐れがあり、森林環境の保全のために、新たな税も含めた検討を初めよ」と知事に申入れ、府議会で全会一致の賛成で「新税」として今年の4月から府民の皆さんにお願いすることになった「森林環境税」による事業が始まりました。
  例えば、危険渓流の流木対策事業というのは、局地的な集中豪雨が頻繁に発生し、土石流の発生時、渓流沿いの木を巻込んで流れ出すと河川や水路をふさぎ、被害を拡大させるため、流木被害を未然に防止する事業です。今年度の実施予定箇所は左上の8地域で、所有者の特定や境界の確定、同意、測量・設計などを始めています。

>> 平成28年度に実施する森林環境整備事業について (PDF形式)

●全体の事業としては、
  1. 危険渓流の流木対策
  2. 主要道路沿いの倒木対策
  3. 持続的な森づくり推進(基盤づくり)
  4. 持続的な森づくり推進(人材の育成)
  5. 持続的な森づくり推進(未利用木質資源活用)
  6. 子育て施設木のぬくもり推進
等の諸事業があります。詳細は府政報告会でご報告します。
 

7.民生委員・児童委員にインターンシップ制度が始まる

 いま、都市部では核家族化の進行や高齢単独世帯、一人親家庭の増加などによって、地域コミュニティの希薄化、子どもの貧困問題など、福祉ニーズが高まり、これらへの適切な対応は喫緊の課題です。そして、従来から地域社会と住民の暮らしを支える身近な役割を担ってきた「民生委員・児童委員(以下、民生委員)」の役割が一層、重要になってきています。
 しかし、昨今の福祉・生活課題の複雑・多様化に伴い、民生委員自身の高齢化と負担感の増大や、なり手不足など、深刻な課題が多く、有効な手立てを講じていく必要があり、これを中村議員は3月の定例会で取上げました。
 府の地域福祉推進室は中村議員の質問に、「ご指摘の課題解決へ、民生委員のあり方検討部会を設置し、活動しやすい環境づくりに向けた取組み方策を検討している。担い手確保に向けた負担感の軽減策とともに、民生委員活動の見える化プロジェクトを進めたい。具体的には、大学や市町村、民生委員協議会等と連携して、民生委員活動を体験するインターンシップを実施し、修了後、民生委員サポーターとして認証する。こうした取組みで、大学生が社会貢献など、地域の社会的課題への関心を高め、あわせて豊かな人間性を育むことで、将来の民生委員候補生を養成し、今後の担い手不足の解消に繋げていきたい」と答えました。
 府は6月、この見える化プロジェクトの具体策をまとめました。これによると、参画する大学は府立大・関学大・立命館大の3大学、30人で、10日間程度の研修期間を予定しています。下のポンチ絵の説明のように、実際に随行し、地域福祉の実態を体験します。
 中村議員は担当者との意見交換で、「大阪の取組みは全国から注目されるだろう。若者が地域社会に関心を持ち、参画することは素晴らしい。民生委員への関心度も上がると思う。これを成功させ、協力市町村・大学を増やしていってほしい」と語りました。

>> スケジュール(PDF形式)


8.自転車の損害賠償保険加入が義務に

 大阪府は7月1日から、条例で自転車に乗る人すべてに、事故を起こした際に損害を賠償する「保険への加入」を義務付けました。また条例は、交通安全教育の充実、自転車の安全利用、交通ルール・マナー向上の3項目も併せて規定しています。
 この条例が制定されることになったのは、
  1. 自転車走行中に歩行者と衝突して死亡・怪我させたなどで、高額な賠償を命じられる事件が相次いだこと、
  2. 赤信号を平気で無視したり、携帯電話を使いながら運転するなどの危険行為が続発していることなどが背景にあります。
 中村議員は3月の本会議一般質問で、この制度に実効性を担保するための一つの方策として、「自転車通学を希望する生徒には自転車保険に加入するという条件を付けよ」と取上げ、教育委員会は「すべての学校で交通安全教育の開催とともに保険加入を義務付ける」と答えました。
 自転車も自動車と同じ「車」であり、誰もが安全運転・マナーを意識することが大切で、大きな前進と言えます。

>> 大阪府では自転車保険に加入しなければなりません。(PDF形式)
>> 大阪府自転車条例(条例の主な取組内容など)(PDF形式)


9.虐待防止へ事前通告なしの制度に

 福祉の現場では、一部の施設で職員による利用者への虐待事件が発生し、死亡に至るという事件が多発しています。
 中村議員は、「府内には障害者、高齢者、さらに母子、児童福祉など様々な種類の施設があり、それらに対する指導監督を強力に取り組め」と、委員会で求めてきました。また松井知事に対し、「国は新年度から、機動的な指導監査ができるよう、指針を改定することを決めた。今の指導監査体制を充実し、もっと多くの施設へ強力に指導・監査に入るべきだ」と提案しました。
 そして国は7月から、虐待防止に重点を置いた機動的な実地指導を可能にするため、「「事前通告なし」で緊急に施設などへの立入りができるよう、指針の改定を行いました。これに合わせて、府も障害・高齢などの関係部局が統一的に指導実施要領を改めました。
 中村議員は「要領の改訂は良いが、疑わしい時はまず直行することが大事だ。施設にいる人達の安全・安心のため、力を尽くしてほしい」と要請しました。
 また中村議員は、「事前通告なしの立入りは、虐待事件などを抑止する作用があり好ましいことだが、根本的な解決にはならない。事件を起こした職員が『いつか手を出してしまいそうだ』と語ったように、現場環境は慢性的な人手不足で劣悪だ。賃金も一般の職種に比較すると大きな開きがある。この対策なしには問題解決にならないので、引き続き、国会・府会でも取上げていく」と語りました。

>> 虐待防止事前通告のこれまでと改正後(PDF形式)


10.淀川渡架橋で国・府が協議

 淀川には約3km毎に橋が架かっているのに、枚方大橋から御幸橋(八幡市)まで、約12kmの区間には橋がありません。そのため、枚方大橋で渋滞が発生し、両岸の地域間交流は阻害され、さらに防災機能も脆弱なままです。
 このようなことから、中村議員や平野代議士らがたびたび「淀川に新橋を架けよう」と、国会・府議会などで取上げてきました。平成25年には中村議員の府議会での質問に都市整備部長は、「新名神高速道路の併設橋も含めた、淀川を渡る橋梁について、事業主体、環境への影響など、諸課題の検討を進めていく」と、答えました。
 その後、新名神と渡架橋問題が、地元地域からの要望として国・府・市などに示され、様々な議論が続けられてきました。  そして、今年2月24日の「新名神高速道路 鵜殿ヨシ原の環境保全に関する検討会」で、新名神は一般道を併設していない案を示しました。また、国交省近畿地方整備局で6月10日、国・府・枚方市・高槻市が参加した大阪北東部地域道路網意見交換会で、
  1. 淀川の新橋は都市計画道路・牧野高槻線が優位である、
  2. 府が牧野高槻線の整備に向けて、枚方・高槻両市とも協力して検討する、
  3. 府が今年中に策定する都市整備中期計画案に牧野高槻線を含めることを検討すると、決めました。
 中村議員は平野衆議員議員に対し、「引き続いて国での取組みを強めてほしい」と要請するとともに、府が中期計画案に「淀川新橋」をしっかりと位置づけ、市民待望の渡架橋が早期に整備されるよう努めたいと語りました。  しかし一方で、地元住民団体などからは、「地元が利用できない新名神は迷惑施設だ。併設橋であれば対岸へすぐに行けるので、少しは我慢もできる。なぜ単独橋が優位であるのかという具体的な説明もしない。新名神完成後に予想される地域への環境汚染などの被害は明らかだ。住民の苦しい思いを理解せよ」と、厳しい声も出されています。
 中村議員は府政報告会などで出される要望・苦情を受け止め、「重要な事業で早期の完成が待たれるが、地域の悩みは当然のことだ。完全な通過道路から排気ガスなどが24時間排出されるのにどんな思いをされているか、真摯に耳を傾ける必要がある。一地域の声だからと、要望・苦情は聞くだけで、具体的な対応はしないという姿勢は許されない」と、地元市議団とともに国・府・両市に働き掛けていくと語りました。
 中村議員は早速、7月14日の枚方土木事務所との意見交換で、このことを所長や関係課長らに強く指摘し、対応を求めました。
 

11.民泊条例が早くも形骸化と報道

 大阪府が外国人の宿泊施設不足解消のためとして施行した「民泊条例」が早くも有名無実化していると報道されています。
 条例に基づいて今年4月から申請を受付けているものの、事業者の反応は低調で、7月1日現在、認定は2件だけです。この低調な原因として、条例では宿泊客が6連泊以上、周辺住民への周知義務が課されていることなどが府のアンケートで判明しています。
 中村議員はこの条例案に対して、「海外から来た人が普通は同じ所で6連泊もしないし、ホテルなどでは不要なゴミ出しなども伴ってくる。文化の違う外国人と住民との間でトラブルの恐れが多分にあり、課題が整理されるまでは賛成できない」と指摘し、知事提出議案には反対しました。
 いま、外国人観光客が宿泊する日数は、旅館で1.5日、ビジネスホテルで1.6日、シティホテルで1.7日と、平均して2泊に満たない状況です。このような数値から、知事は「最低滞在日数の短縮をお願いしたい」と国へ要請しました。
 民泊そのものを否定しませんが、訪日客の便宜を図るとともに、住民の不安のない制度にしていくことが重要です。 


民泊条例早くも形骸化と伝える産経新聞


12.大阪府が国へ予算などを要望

 府は今年も6月、「国の施策並びに予算に関する最重点提案・要望」を行いました。また、これまで毎年度、国への要望活動と合わせて大阪選出の国会議員にも説明して協力を求めるとともに、関係する府議団にも説明を行ってきました。
 府の担当者から提案・要望の説明を受けた中村議員は、民進党所属の国会議員に対し、「知事の提案・要望についてはかなりの部分で同様の思いもあるが、議会で取り上げている方向とはかなり異なる部分もある。特区を活用して規制緩和という名のもとに展開しようとしている基準変更によって、現場の混乱や施策の質が低下する恐れ、国民の賛否が拮抗しているIRカジノ問題など、党本部でも十分に議論してほしい」と語りました。

◎国への要望項目

★主要最重点要望では、

  1. 大都市圏の成長を通じた日本の再生として、
    1. 競争環境の整備を挙げ、うめきた2期の推進やIRリゾートの立地実現、国際博覧会の大阪誘致など、
    2. 都市基盤等の強化ではリニア新幹線、北陸新幹線、関西国際空港対策などを挙げました。
  2. 成長と安全・安心を支える国の形づくりとして、
    1. 防災・減災の推進
    2. 分権型の国の形への転換 をあげました。

★最重点要望では、

  1. セーフティネットの整備として、
    1. 国保制度改革
    2. 福祉医療費公費負担制度の創設と国庫負担金減額措置の廃止
    3. 医療関連データの活用環境の整備
    4. 児童虐待対策・障害者対策の充実などを、
  2. 誰もが安心して暮らせる活力のある大阪の実現として、
    1. 子どもの「学び」と「育み」を支える教育施策の充実
    2. 活力ある大阪に向けた環境整備
    3. 安心して暮らせる「安全なまち大阪」の確立
    をそれぞれを挙げました。
・・・・・・・・
 中村議員が国会議員団に十分な議論を求めた中で、例えば、待機児童の解消という課題での府の提案・要望は、「省令で定める保育所等の床面積の基準や、保育士等の人員配置基準の弾力的な運用を求めるとともに、保育士をサポートする人材確保策の一つとして『准保育士』の創設」などを挙げています。
 中村議員は、「府が要望しているこの見直し案は保育の質低下につながる恐れがあり、保育現場での死亡事故などが起きている中では慎重でなければならない。8月に民進党議員団として知事に提言する中で取上げていく」と語りました。
 

13.府政の課題で先進県を視察調査

 中村議員は府議会の定例会が3月24日に終了したことを受け、宮崎県美郷町と大分県日出町を訪問しました。
 美郷町は全国的にも珍しい常備消防のない自治体で、地域の住民が消防団を組織し、火災消化などにあたっています。しかし、急な発病や交通事故などの救急救命事件については「消防」がないため、町職員が住民からの要請を受けて、ボランティアで医療機関へ搬送業務などを行っていました。
 このような中、救急救命事件を放置できないと、当時、美郷町の調査に来ていた白川さんが、「救急救命業務」を町から引き受け、24時間常駐で対応しています。
 全国の1,719自治体で、常備消防がないのは30自治体で、一体どうして緊急時の患者搬送などを行っているのかを調査しました。
 さらに、日出町で展開している生活困窮者への対策と就労支援策などの調査のため、日出町に設置されている「けいせんプラザ」の視察も行いました。
 これについて、先日、議会の視察調査報告としてまとめていますので、これをご紹介します。

〇管外調査の日時・項目について

1.日時   2016年3月29日・30日
2.調査対象と地区
    @ 宮崎県美郷町の消防業務(救急救命)の調査(29日)
    A 大分県の生活困窮者対策事業等の調査(30日)
3.調査の概要等
    (1)宮崎県美郷町の消防業務(救急救命)の調査
 常備消防を持たない宮崎県の美郷町が民間の力によって、救急活動を展開していることが伝えられたことから、どのような取組みであるのか、また、それが住民に理解されているのかを調査するために訪問した。
 この日は、添付のとおり、議会の新玉副議長がわざわざ同席くださり、総合調整危機管理担当の菊池主査、救急業務を委託されている日本救急システム鰍フ白川社長らから、昨年に始まったこの取組みの説明を受けた。
 美郷町は南郷・北郷・西郷の3地区が合併して現在の美郷町になったが、人口は1万人に満たず、財政基盤も脆弱なことから、常備消防を持たない、全国でも数少ない自治体である。これまで、救急出動要請があると、町職員が交代で運転して西郷病院へ搬送していたが、あくまでもボランティアであり、職員にとっては相当な負担感があったとのことである。
 このため、近隣の日向市に事務の一部を依頼したようであるが、1億円を超える負担を求められたために断念し、最近までこの状況が続いていたようである。
 このような時、国士舘大学で救急システム研究科助手として救急救命士の養成をする傍ら、国家試験対策の会社を経営していた白川透氏が常備消防を持たない同町の救急業務を視察した。同氏はこの実態を見、救命士の必要性を感じる中、大学で救急救命士の資格を取ってもなかなか就職できない実態であることから、それぞれの改善に役立つのではないかと考え、2015年4月に町と契約し、業務委託に応じた。
 現在、救急救命士は9人で、2人1組で24時間待機し、西郷病院の指示に従って救急救命業務を行っている。しかし、あくまでも搬送のための運転は町職員が運転し、救急救命士がこれに同乗しているものである。
 現在は、北郷地区に常駐していて、南郷・西郷には待機していないため、今後、順次地区を追加する予定で、今年度には南郷地区に7人を配置し、平成30年度には西郷地区も加えることとし、美郷町全域をカバーしていくとのことである。
 美郷町は非常備消防としての消防団が強力な活動を展開しているが、病院関係者は「一日も早く常備消防が待たれる」と話しているようである。
 これを視察し、これまでの経過を聞き、この地域の若者たちはほぼ全員が、「町民は消防団に入って町のために尽くすのが当たり前だ」という使命を感じているように思えること、さらに消防団員は43歳までで、それから50歳までは後方支援に当たっているということが分かった。年間3千万円程度で救急救命業務を受け、頑張っている救急救命士の方々に感謝と尊敬の思いである。今年度からは約7千万円になるようであるが、伝統的な住民の絆、使命感に感銘を受けた。
    (2)大分県の生活困窮者対策事業等の調査
大阪府は生活困窮者対策を重要な施策として取り組み始めたが、昨年の暮れから大分県でこれへの取組みが顕著だとの情報に触れ、今回、大分県社会福祉事業団が日出町に開設した「宿泊型福祉施設・けいせんプラザ」を視察した。
 今回の視察では、県社会福祉事業団・渓泉寮の糸永寮長、事業団・けいせんプラザ総括の津島主査にお世話になった。生活保護に至る前段階の困窮者、生活保護の受給者、障害者の支援などを目的に昨年12月に開設したばかりの施設で、お二人とも、「施設利用者への支援を通じて、セーフティネットの一翼を担っていく」と力強く説明された。
 この施設の特徴は昨年4月に施行された生活困窮者自立支援法に基づく施設としての機能を果たすため、これまでからあった渓泉寮の敷地内に別棟(けいせんプラザ)を建てたものである。ここでは、生活困窮者に低額な料金で宿泊所を提供し、同法による支援計画を立て、必要なサービスを提供し、自立を促すとともに、路上生活者や、病院を退院したものの住居の無い人、ひきこもりなどで一般の人と生活リズムを合わせられない人らが生活し、就労準備をしていた。けいせんプラザのこれまでの対応事例の一部を別紙に示していただき、さらに施設内を見学したが、入所者は廊下でも普通に挨拶され、比較的健康な感じだった。すでに退所された方もあり、元気に就労されているとのことである。
 さらに、渓泉寮の障害者の作業所、ハウス内の三つ葉の水耕栽培などを拝見し、みんな元気に頑張っている姿を見、「頑張れ」と、声をかけたくなる。けいせんプラザは3階建てで8居室あり、2階は女性、3階は男性で、2階と3階は行き来ができないようになっていた。ご夫婦という組み合わせもあったが、ここでは夫婦もそれぞれ別に生活している。また、DVなどで子どもとともにということも想定し、写真のように非常に広い部屋もあった。
 生活困窮者だけではなく、障害者の家族の相談と短期入所によるレスパイトなど、制度の狭間の人にもしっかりと対応し、生活がしずらい人にも利用してもらいたいと語っておられた。全国でも厳しい環境にある大阪で、このような施策を充実させたいと思う次第である。

けいせんプラザの部屋1

けいせんプラザの部屋2

ハウスで三つ葉を水耕栽培で育て出荷している現場を視察した中村議員


 大阪府議会議員 中村哲之助ホームページ