大阪府議会ヨーロッパ行政調査団メンバー
大阪府議会議員  中村哲之助


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総領事館へ EUへの理解が深まった(18日)

 この日は、昨日のデモのために行けなかったEU議会を見学のためにホテルを早めに出発。EU議会は毎月第3週に開催され、ヨーロッパ全土から約600人余りの直接選挙で選ばれた議員とそのスタッフが集中し、大変なようです。約4000人の人々が仏独国境付近のアルザス地方へ来られるのに、交通手段が十分ではなく、EU議会をもっと便利な場所に移せばどうかという声が数多くあり、フランス政府はこれを守るため必死になっているようです。

総ガラスのEU議会

EU委員会の建物前で

 私たちはガラス張りの見事なEU議会の建物などに感心した後、10:20に在ストラスブール日本国総領事館を訪問し、山口英一総領事と懇談しました。その後、大平次席や村田政治経済担当領事らからストラスブールの最近の事情や、EUについての説明を受けました。
 それによると、EUの三権の所在地が同一地域に設置されていないのは、各国の外交交渉によって決められたためのようです。
 また、1994年のマーストリヒト条約によってEUは大きく前進し、とりわけ共同市民権・共同決定権が拡充しました。従って、農業や通商などは各国が既にEUにその権限を委譲しているので、日本の国益を守るために、総領事館は各国代表である議員や、EUの政党代表者へのアタックなどが必要で、その動向には細心の注意を払っているとのことです。

総領事館で懇談する議員団
 私たちはこれまでEUは、イギリス・フランス・ドイツ・ベルギー……というように、それぞれの国が、互いにその連携を図りながら行動していると思っているところが多分にありました。しかし現実にはそうではなく、むしろ、EU合衆国フランス州、EU合衆国ドイツ州のように考え直さなければ、今日のEUは理解できないということが判りました。欧州憲法条約の議論が行われ、軍隊の統一まで実施しようという議論が現実になされていることを聞き、改めてEU各国の「統合」への強い決意を知りました。
 一方、今日の最大課題の一つである「イラク戦争」への評価や支援体制の違いなどから、EUでの各国の動きも少なからず影響を受けているようです。
 EUは元々、仏・独・伊とベネルックス3国の合計6ヶ国でスタートしたものですが、来年4月には25ヶ国になり、さらに、ブルガリア・ルーマニアが加わり、27ヶ国になる予定です。スイス・ノルウェー・アイスランドは未加盟ですが、ウクライナの加盟問題もあり、結局ヨーロッパは一体どこまでなのかということになっています。
 必要な政策は可能な限り統合し、その一方で地域の持つ多様性を生かしていくことを重視しているEUは、正に21世紀の私たちの進路を示しているといっても過言ではないでしょう。

 総領事館を辞した私たちは昼食後、バスに乗車し、フランクフルト・ラインマイン空港へ約3時間の移動です。バスから見る風景は、来た2日前とはすっかり様相が変わっています。今日は平日で、日本の高速道路と同様に、すごいトラックの通行量です。また、「これまで国境付近には必ずあった検問所も廃止され、当時の検問所や兵舎は今、難民の収容施設に転用している」と、ガイドのハールさんの説明に耳を傾けながら、ライン川の傍にあるその施設を目の当たりにし、私たちの視野が本当に狭いものだということに気付きます。空港へ到着した時にはもう辺りは薄暮です。私たちは17:20発のLH5580便で次の訪問地ミラノへ向かいます。ミラノ到着後Aグループと合流し、久し振りに和食・日本酒を口にし、ホテルへ着いたのは21:20でした。


関空からフランクフルトへ(16日)ストラスブールでLRTに乗車する(17日)総領事館へ EUへの理解が深まった(18日)
ロンバルディア州政府を訪問(19日)現地日本企業関係者との懇談(19日夜)UCIMUイタリア工作機械協会を訪ねる(20日)
プラートの繊維産業振興策を学ぶ(21日)|ルネッサンスの文化に感動(22日)|多くのことを学んで帰国(23〜24日)|
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