私たちはこれまでEUは、イギリス・フランス・ドイツ・ベルギー……というように、それぞれの国が、互いにその連携を図りながら行動していると思っているところが多分にありました。しかし現実にはそうではなく、むしろ、EU合衆国フランス州、EU合衆国ドイツ州のように考え直さなければ、今日のEUは理解できないということが判りました。欧州憲法条約の議論が行われ、軍隊の統一まで実施しようという議論が現実になされていることを聞き、改めてEU各国の「統合」への強い決意を知りました。
一方、今日の最大課題の一つである「イラク戦争」への評価や支援体制の違いなどから、EUでの各国の動きも少なからず影響を受けているようです。
EUは元々、仏・独・伊とベネルックス3国の合計6ヶ国でスタートしたものですが、来年4月には25ヶ国になり、さらに、ブルガリア・ルーマニアが加わり、27ヶ国になる予定です。スイス・ノルウェー・アイスランドは未加盟ですが、ウクライナの加盟問題もあり、結局ヨーロッパは一体どこまでなのかということになっています。
必要な政策は可能な限り統合し、その一方で地域の持つ多様性を生かしていくことを重視しているEUは、正に21世紀の私たちの進路を示しているといっても過言ではないでしょう。
総領事館を辞した私たちは昼食後、バスに乗車し、フランクフルト・ラインマイン空港へ約3時間の移動です。バスから見る風景は、来た2日前とはすっかり様相が変わっています。今日は平日で、日本の高速道路と同様に、すごいトラックの通行量です。また、「これまで国境付近には必ずあった検問所も廃止され、当時の検問所や兵舎は今、難民の収容施設に転用している」と、ガイドのハールさんの説明に耳を傾けながら、ライン川の傍にあるその施設を目の当たりにし、私たちの視野が本当に狭いものだということに気付きます。空港へ到着した時にはもう辺りは薄暮です。私たちは17:20発のLH5580便で次の訪問地ミラノへ向かいます。ミラノ到着後Aグループと合流し、久し振りに和食・日本酒を口にし、ホテルへ着いたのは21:20でした。 |