大阪府議会ヨーロッパ行政調査団メンバー
大阪府議会議員  中村哲之助


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UCIMUイタリア工作機械協会を訪ねる(20日)

 この日は午前中にウチムを訪問し、午後からは最後の訪問先のプラートへ移動するため、早朝から荷物や書類を整理。8:30にチェックアウトし、ミラノ郊外のウチムへ向かいます。
 また今回の調査期間中、JTBの添乗員として同行しているH君が思いもかけない交通事故に遭遇したため、今日からは関係者が交代することに。H君の一日も早い回復を祈ります。
 10時過ぎにウチムに到着した私たちは、副代表のギアンカルロ・ロスマ氏らのお出迎えをいただき、さっそく説明を受けました。

奥 一番右に着席が中村議員


 モノづくりの町=大阪の再生を果たさなければと思い、このウチムを選択した私たちは、イタリアの工作機械産業の状況とその成功の秘訣などを熱心に学びました。 イタリアの工作機械産業(工作機械・ロボットなどを製造)は、生産・輸出ともに世界第3位で、企業の大半が70人程度の従業員を擁する中小企業で占められています。海外への進出も含め、その成功の秘訣は、
  1. フレキシビリティ(柔軟性)
     工作機械そのもののみではなく、これを作るメーカー自身に、市場の要求に具体的に対応できる柔軟性を備えている

  2. 先進的テクノロジー
     世界的なレベルでも、特に機械部品の分野では開発力がある

  3. 問題解決への高い能力の保持
     顧客が抱えている問題に共同で解決策を示し、設計・製作まで一貫して担い、満足を得ている
 ことにあると、同氏は力強く語られました。

 これに対して調査団からは、

  1. TLOという大阪が進めている制度をイタリアではどのようにしているのか
  2. 日本では成熟社会となった今、教育・福祉などの分野での投資が進んでいる。イタリアはどうなっているか
  3. 中小の各企業が共同で研究・開発を進めていくことは素晴らしいことであるが、知的財産の所有などについてはどうか
  4. ロンバルディア州と大阪の今後の交流のあり方
 などについて質問するとともに、逆にウチム側からは、
  1. 日本経済の動向、とりわけ大阪経済は現在どのような状況なのか
  2. 日本における各企業の現在の就労形態
  3. 年金問題などへの将来の不安
 などが尋ねられ、調査団からこれらを説明するということがありました。

 今回の訪問を受けていただいたロスマ氏は、「私の会社も実は工作機械を製作しています。そして日本にも少しですが、輸出しています。だから、日本経済にも大変な関心を持っています」と言われ、大変な親近感を持ちました。

 私たちはこの後、昼食をとり、バスでプラート(フィレンツェの近く)へ向かいます。バスは現地まで、約4〜5時間かかるとのこと。大変な行程です。私たちが3日間滞在するフィレンツェの高台にあるホテル・ビラコーラに到着したのは何と、午後7時。本当に疲れました。荷物を受け取り、部屋で着替えを済ませ、ホテルの地階で夕食。終わったのは9:30を過ぎていました。


ミラノで気付いたことを少し

  1. コーヒー事情
     最初の調査地のストラスブール(フランス)では別に何とも思わなかったコーヒーが、イタリアへ来た途端に大変化。私たちが日頃飲んでいるコーヒーはまず出てきません。普通のカップの1/3〜1/4くらいの大きさのカップに、底溜まりの様なエキスだけのエスプレッソと、倍くらいもある大きなカップに入ったカプチーノが主流です。中でもイタリアの人たちは、エスプレッソをよく飲んでいるように思います。
     根っからのコーヒー好きの私もほとほと困り果ててしまいました。調査団の訪問で、その懇談の最中に出されるエスプレッソが余りにも濃いため、仕方なく、目の前に並んでいるペットボトルの水を入れて薄めたら、何とこれがガス(炭酸)入りの水。ああ、ヒドイ、なぜこんな目にと思いながら、やっと半分程度を飲みました。次からは帰るまで、カプチーノにし、それと、水のガス入り・ガスなしに注意の毎日でした。

  2. 交通事情
     日本よりも比較的広いと思えるイタリアの道路も、言葉では表現しきれないほどの駐車のため、1台の車が通行するのが「やっと」だという状態です。聞くと、個人が新しく車を購入する場合でも、一切、車庫があるかないかは関係なしだとか。日本では車庫証明が絶対に必要というのとは根本的に違います。ですから、道路には二重、三重に、そして縦・横・斜めと停め放題。警察署もほとんど違反の摘発をしないようです。車によっては一体いつから駐車しているのかと思うような「埃・落ち葉」がたっぷりというひどい車であふれています。

  3. 美観と街の事情
     イタリアの「まち」は、ミラノやフィレンツェだけではなくどこでも、街そのものが、また建物そのものが歴史を刻み、まるで博物館のようだと言われます。しかし、そのミラノがよくぞここまでと嘆くほどに「落書き」で汚れきっています。世界に誇る歴史観光都市がなぜこんなに……と、私たちが思うほど、こちらの人たちは考えていないのでしょうか。何百年も前に建てられ、他国ならきっと国宝級の扱いを受けるはずの歴史的遺産・建造物が、余りにも無残な姿を晒していることが残念でなりません。
     そして、もう一つ。レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ラファエロ、ボッティチェルリなどのすごい芸術家が残した数々の名作が、「エッ、こんな所に?」と思うような所にあります。一般的に、受胎告知やヴィーナスの誕生、春など、学校の美術や歴史で誰もが教わったすごい物なら、堂々とした建物がそびえ建ち、その中に厳重に保管されていると思ってしまいます。しかし、ここミラノでは、(フィレンツェでもそうでしたが)まるでどこかの倉庫の入り口かと思うような所から入場します。「文化は私たちの生活の一つとして溶け込んでしまっている」と、こちらの人に言われればそれまでですが……。

  4. ファッション事情
     ミラノは世界のファッション界をリードし、またその中心だとよく言われます。だから街行く人はどんな服装かなと関心を持っていたのですが、さりげないもので、日本国内と何一つ変わりません。むしろ、ミラノの町の中には日本国内で見るようなブランド物で身を固めて歩いている人などは皆無です。逆にブランド物のバッグを肩に、余り似合っているとは思えない服装で歩いている日本人の方が目立ちます。自分の意思でというより、周囲の人が持つから自分も欲しいという日本人は、イタリアは勿論、海外の人から見れば「お金儲け」の対象として笑いが止まらないでしょう。自分自身の主張をきっちりとするイタリアの人たちは、決して他人の真似をせず、ファッションにも個性が溢れています。厚いコートを着用している人がいるかと思うと、隣には肩が見えるほどの薄着の人がいたりと、それぞれが自由にその場にあわせて自己主張しています。それが街そのものを高めているのでしょうか。日本人のブランド志向は異常とさえ言えるでしょう。

  5. イタリアの料理事情
     好きな人にとってはたまらないイタリア料理。しかし私たちが滞在し、食した料理は「まずい」とは言えませんが、私にとってはどうももうひとつ「すっきり」とはしませんでした。
    素材は日本とそんなに変わりはしませんが、とても味が濃いのです。もちろん、家庭の味を体験したのではなく、限られたホテルやレストランでの食事ですし、短期間のことですから、これで評価するのはおかしいと言われるかもしれませんが、これまで私がドイツやオランダ・フランスなどのヨーロッパ諸国でいただいた時の方が、ずっと良かった気がします。そして、私がまだ食べているのに、声もかけずに勝手に皿などを下げてしまうことが度々で、調査団のメンバーも少しムッとしている人がいたことも事実です。私も一度ならず二度・三度と「NO」と言ったことを覚えています。特に、スローフード運動を取り組んでいる所でさえこれですから、難しいものです。そしてこちらの人はよくあれだけ食べられるな?というほど食欲旺盛です。(私は本当は、「アルデンテ」のスパゲッティが食べたかったのですが‥‥。内緒・内緒)

関空からフランクフルトへ(16日)ストラスブールでLRTに乗車する(17日)総領事館へ EUへの理解が深まった(18日)
ロンバルディア州政府を訪問(19日)現地日本企業関係者との懇談(19日夜)UCIMUイタリア工作機械協会を訪ねる(20日)
プラートの繊維産業振興策を学ぶ(21日)|ルネッサンスの文化に感動(22日)|多くのことを学んで帰国(23〜24日)|
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