大阪府議会ヨーロッパ行政調査団メンバー
大阪府議会議員  中村哲之助


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ロンバルディア州政府を訪問(19日)

 時差(8時間)にもようやく慣れ、ぐっすり眠ったのに少し早目に目がさめました。これまでは2〜3時間おきくらいに目がさめていたのですが、やっと体が慣れたのでしょう。今日は10時以後でないと州政府の担当者の時間が取れないため、かなり時間に余裕があります。日本から持ってきた小説は飛行機の中で半分くらい読んだのですが、この日は朝から2時間ほど小説を読み、朝食後、ホテルの周囲を散策しました。ミラノは昨日までのストラスブールと違い、いたる所で日本人のグループに出会います。日本語の会話を聞いているとさすがに観光地だなと、感心します。
2色同時点灯する信号

飛行機が突っ込んだ超高層ビル
 散歩の途中で気付いたことですが、世界各国の信号は、(赤)→(青)→(黄)→(赤)となるはずなのですが、ここは違うのです。(赤)→(青)→(青+黄)→(赤)というように、黄色が単独ではなく、青の最後の部分に黄色が重複して点灯します。これは、黄色は気を付けて進めということを意味しているようです。日本では、進むことよりもむしろ、停止することに重点を置いていますから、日本とはすごい違いです。また、ホテルの近くで修理している超高層ビルは、ニューヨークの9.11テロ事件の直後に、軽飛行機が突っ込んだ建物で、一時は騒然となったようです。

 ホテルに帰ると、ミラノで通訳をされる矢作泰子さんが来られていました。私たちは徒歩で、ロンバルディア州政府の建物へ向かいます。
ロンバルディア州では、州議会理事(3)のADAMOLI氏やPEZZONI氏、TURTURIELLO氏らが応対されました。
 開会冒頭に訪問団を代表して大前団長が、「イラクにおけるテロの犠牲となられた兵士とその遺族の方々に対して心からのお悔やみを申し上げる」と述べるとともに、今回の訪問の趣旨を説明し、併せて、「大阪とロンバルディア州との友好がさらに深まることを期待している」と挨拶しました。
 アダモーリ氏は、歓迎の言葉の後、今イタリアでは国の権限を州や自治体に相当委譲していること、そのために法制度や税制面でも多くの改革が行われ、自治権が大幅に拡大してきていること、そしてそのことによって、地域の安全対策が大変進んだと述べられました。また、州は仕事の大半を住民のより身近な県・コミューン(市町村など)に委託し、州は立法機関的なものになってきていると説明されました。

bRのアダモーリ氏らの歓迎を受ける
 例えば制度改革の中で、州自身の決定権を尊重するように税制面でも大改正が行われ、これまで国にだけしか入らなかった付加価値税の内、38.55%が州の財源となるようにされ、さらにガソリン税でも70%が州の財源になりました。そしてすごいなと思うのは、州同士でも地域によっては大きな較差があるため、財政的に強い州から弱い州へ援助金を出していることです。ちなみにロンバルディア州は60億ユーロを出しています。
 このようなことから、権限委譲の中で、保健・教育・地域安全の3点は国ではなく、州が最高責任を持つようになっています。

 一方、調査団の議員からは、

  1. 州の主要な税源と主要施策
  2. 州政府の人件費は予算の内でどの程度を占めるのか
  3. EU統合によって、国と州にはどのようなプラスマイナスが生じているのか
  4. ミラノコレクションへの取り組み
  5. ロンバルディア州とミラノ市との間で二重行政はないのか
  6. 中小企業への具体的な施策はどのように展開しているのか
  7. EUと2001年のイタリアの諸制度改革の関連はどうなっているのか
  8. 余りにもひどい路上駐車の対策はどうしているのか
 などについて活発な質問が出されました。

スローフード運動を学ぶ

 この後ホテルへ一旦帰り、気軽な服装に着替え、イタリアにおける「スローフード運動」の調査に出かけます。
 これには運動に関わっておられるピエトロ氏が同行され、写真のような郊外のレストランを訪問。スローフード運動の歴史や最近の実態についての説明を受けた後、調査団全員がその食事をいただきました。結構ボリュームもあり、今までレストランなどで食べた料理に比べると少し薄味で、食べやすいものでした。 ピエトロ氏は、なぜイタリアでこのような運動が起こり、世界各国で現在7万人を超える人たちが運動に参加されているのかを解説されるとともに、環境に配慮した食文化の伝承をどのような形で進めていくのかなどを熱心に語られました。


スローフードのレストラン

食材にはレンズ豆をよく使うようです
 現在の食生活、ハンバーガーなどのファーストフードを見直そうとして始まり、「ファーストVSスロー」からスローフードと呼びはするものの、食事の時間をゆっくりというよりはむしろ、自然の食材を生かし、環境に優しい「食」文化をどのように築くのかということの方が主になっているとのことです。中でも、次代を担う子どもたちには、より一層の理解を深めてもらうため、教育の観点からも働きかけをしているとのことです。
 今日、わが国では、子どもも大人も朝の食事を抜いたり、手の込んだものを作らずに簡単なものを食べるという風潮が強まっているだけに、イタリアから始まったこの運動を、ぜひ日本でも本格的に進められないものかと感じます。普段は何とも思わずに済ませている食生活のことを、私たちはもっともっと深く学び、実践していかなければならないと思います。大阪府が呼びかけている「野菜バリバリ……」の運動は、その意味では極めて重要なものです。
 ホテルへの帰路、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を15分間、見学しました。あれだけ有名なものだけに、どれだけ大きな建物の中にあるのかなと思っていましたが、案内していただいたのは、「エ-っ、これが?」と言うほどに質素で小さな建物です。サンタマリア・デッレ・グラーツェ教会の修道士の食堂に使われていたものとか。何度も何度も修復工事を繰り返してやっと完成し、往年のレオナルドの表現したものと大差ないようになったとのことです。少し暗めの部屋の中で、僅かの時間では有りましたが、緊張しながら鑑賞しました。レオナルドの遠近法をはじめとする描写法にはただただ感心の一言です。

関空からフランクフルトへ(16日)ストラスブールでLRTに乗車する(17日)総領事館へ EUへの理解が深まった(18日)
ロンバルディア州政府を訪問(19日)現地日本企業関係者との懇談(19日夜)UCIMUイタリア工作機械協会を訪ねる(20日)
プラートの繊維産業振興策を学ぶ(21日)|ルネッサンスの文化に感動(22日)|多くのことを学んで帰国(23〜24日)|
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