民主党無所属ネット議員団・スペイン行政調査団
大阪府議会議員  中村哲之助


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移動日・グラナダへ向かう(3月27日)


 今回の視察は、府議会の日程が当初よりもずれたことなどから、約1週間の視察の真中に、土・日曜日が入りました。この日と翌日の28日は土・日曜日ということで、官庁や各種団体などを訪問する計画はなく、世界遺産を観光資源としてどう活用しているのか、また現地の暮らしや街づくりなどはどうなっているのかなどを視察することになっています。
 朝早くモーニングコールが予定されていましたが、6時前に目が覚め、この間の資料整理をするとともに、トランクに入れてきた趣味の時代小説を取り出して、1時間半ほど読書しました。関空からの機中での読書以来、小説を読むのは2日振りです。8時少し前、朝食のために食堂へ行くと、何人かの議員が既に食事中です。「初日は何か食欲が出なかったけれど、2日目になると少し楽ですね」と、話される議員もおられ、私自身も連泊はかなり楽だなと思います。しかし、全員が一様に、「ハムやソーセージを始めとする食品はなぜこんなに塩辛いのか」と言います。私も同じ感じを持っていましたが、こんなに塩分の多いものを毎日食べて、この国の人達は大丈夫なのかと、心配さえしてしまいます。
 ヨーロッパ風の朝食は、ほとんどのホテルで「野菜」を出さないことが普通です。しかし、今回は事務局長の配慮で、ヨーロッパのホテルでありながら、アメリカンスタイルのバイキング料理を提供するホテルを選んでいただいたため、野菜などが出ていて、今回は大助かりです。

 9時少し前にホテルを出発し、次の訪問地・グラナダへ向かうため、バルセロナ空港へ。交通渋滞もほとんどなく、約10分余りで到着します。今日は国内移動であるため、出国・入国などのわずらわしい手続きは一切なく、スムーズに進みます。ところが搭乗して、予定の出発時刻を過ぎても肝心の飛行機がなかなか離陸しません。何が原因なのか、言葉が判りませんから、ただ待つだけです。20分余り遅れて、午前11:27に離陸したIB1254便は、スペインの南の都市グラナダへ向け、緯度で約4度分を南下します。

 飛行時間は約2時間で、途中で食事なども出されますが、好きなチーズを一口と、コーヒーを飲んだだけで、今朝の小説の続きを読みました。上空から見える前方のシェラネバダ山脈の山々の頂(いただき)はまだ雪に覆われ、眩しく感じられます。とりわけ背の高いのが、イベリア半島の最高峰・ムラセン山=3482mでしょう。また眼下の景色は広大な平原で、オリーブの木で埋め尽くされていると言ってもいいほどです。
 午後0:35にグラナダ空港に到着です。この空港はターンテーブルもたった一つだけしかない、本当に小さな空港で、日本の地方空港と同じような風景です。
 日本をKLMで出発した時から気付いていたことですが、外国の航空会社の国際線は、日本のJALやANAと違って、客室乗務員はかなりの高年齢者が就いています。IB1254便はスペインの国内線ですが、それでも同様に、日本よりは比較的年齢層が高いように思います。女性の勤務実態の違いがそのまま反映されています。
 空港では現地ガイドの坂野氏が出迎えられ、私たちはバスで世界遺産のアルハンブラ宮殿とヘネラリーフェ庭園の視察に向かいます。これらの概要は、世界遺産解説書や旅行ガイドなどにも掲載されていますので省略しますが、イスラム世界とキリスト教徒たちの、長い宗教上の理由で続いた戦争の歴史を思い出させます。今日、世界各地で民族や宗教の違い・富の配分などをめぐって多発する紛争が、どれほど根深いものかを改めて教えられた気がします。

 アンダルシア州の第4番目の主要都市であるグラナダは、標高700mの高さにあり、アスパラガス・タバコ・レンズ豆などがよく栽培されています。また、移動中、車窓からは白ポプラが植林されているのを時々見かけます。ガイドの説明では、この木は余り手をかけなくても7〜8年で大きくなり、すぐに良い値段で売れるので、この地域では誰もが好んで植林しているようです。また、タバコはスペイン全土の27%をアンダルシア地域で生産しています。


昼食:スペイン風のオムレツ

大きな「緑のゴミ箱」
 昼食はスペイン風のオムレツ(写真=日本のジャガイモ入りお好み焼きという感じ)です。ここでもやはり食事を始めるのは、1時半頃からで、ようやくこの食事時間に慣れてきました。
 レストランなどがある地域は異常とも言えるほどの「違法駐車」で、日本の二重駐車などは、まだおとなしいくらいです。ただ、車道や歩道には、かなりの数のペットボトルやビンを入れる相当大きな「緑のゴミ箱」が置かれています。写真でも分かるように、これだけ大きなものなら誰でも目に付きますし、少々ではいっぱいになりません。私の地元・枚方市をはじめ府内の各地域でも、ペットボトルを回収するボックスが市内に何ヶ所か設置されていますが、50〜100mくらいの中に必ずあるのとは大違いで、これからのゴミ対策として、大変参考になりました。

 アルハンブラ宮殿などを約2時間見学した後、私たちはグラナダ名産の寄せ木づくりの工場・販売店を視察しました。世界各国からアルハンブラ宮殿を訪れる観光客に「アルハンブラ名産」として買ってもらい、この地域の産業として定着させたいとのことですが、金額的にも割合高価なもので、購入する客も少なく、思惑どおりにはいっていないのではないかという印象を強くしました。店内も閑散としています。
 この後、宿泊先のHotel Corona Granadaへ。夕食はお決まりのように午後8時過ぎからです。またこの日は、私たちが食事をしている隣のバンケットルームで、現地の2組の新郎新婦を囲む「披露宴」が合同で行われ、スペイン風の結婚披露宴を垣間見ることができました。さながら、日本で行われる政治家の立食風のパーティによく似た形式で、比較的地味なものです。新婦は最後まで「お色直し」はしていませんでしたし、礼服のようなものを着ている人は見かけません。小学校へ入学したくらいの男児2〜3人が、蝶ネクタイをして着飾っていたのが印象的なくらいです。スペインの人たちはそんなに背が高くありませんが、2人の新婦はともに背が高く、175cm位はあったでしょう。若い2組の前途に幸多いことを祈ります。
 夕食後、希望者は9時半から、グラナダの丘陵にあるフラメンコ・ショーを約1時間、鑑賞しました。20分程度で到着した洞窟で行われるショーは、発祥の地と言われるだけに、すごい迫力で、ダンサーの汗が飛んできますし、狭い洞窟(幅4m、奥行き20m程度)のため、ステップの時、足を踏まれそうな気さえします。ショーが一通り終わって外へ出ると、次の客が雨の中をじっと待ち続けています。やはり大変な人気なのでしょう。私たちも大満足で、ホテルへ帰ると既に11時半を回っていました。雨は深夜までしとしとと降り続いています。


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