民主党無所属ネット議員団・スペイン行政調査団
大阪府議会議員  中村哲之助


(各画像クリックして頂くと拡大画像をご覧頂けます。)

 今回の視察で気付いたこと  

ゴミへの対策が明快

 家庭から出る一般ゴミやビン・缶・ペットボトルなどを回収するケースとは別に、バルセロナでは路上に置かれた写真のようなゴミ袋を時々見かけます。これは、結構大きいもので、周囲が約1m・高さ70〜80pくらいの非常に厚手の丈夫な袋です。家庭の壁紙の張替え・部屋の改造などで出てくる廃材などをすべてこの袋に入れ、一杯になったら電話をします。電話を受けたら一両日の内に取りに来てくれるようで、すごく便利です。

 この袋は近所のお店に行けば購入でき(3000円程度)、その袋代の中に、回収費と処理に要する費用などをすべて含んでいます。自分自身で出したい量に応じて購入し、電話すればよいだけで、一般市民から見れば単純明快です。

何事も自己責任で

 スペインは何事をやるにしても「自己責任」ですと、現地ガイド・通訳は、たびたび語ります。ベランダの手摺りが壊れていて、2階や3階から子どもが仮に転落しても、それは子どもとその親が悪く、建物の管理責任はまずほとんど問われません。ため池、川、山などどこでも常に、自らが責任を持って行動することが大切で、わが国とは大違いです。
 私たちは、日本とりわけ大阪の様子を常に把握しておこうと毎日、新聞切抜きをFAXしてもらっています。丁度、私たちがスペイン滞在中に、日本で子どもが回転ドアに挟まれて死亡するという痛ましい事故がありました。ガイドは「回転ドアに問題がなかったか、また全国の遊具を点検‥‥」と言う記事を見て、「なぜ日本は、こんなことを言うのか。子どもの面倒を見ていなかった親にこそ一番の責任があるはずだ。機械も時には故障するし、ドアに挟まれるかもしれないなどと言うことは誰でも知っている。不思議な国だ」と、厳しい表情で語っていました。

 私は「スペインの方々が日頃の生活習慣などに基づいて言われることは分かりますし、あなたが言われるように、もっと自己責任という考え方が必要です。しかし、日本ではそうじゃないんです」と、説明しました。この後、スペインと日本の価値観や自己責任論の違いが大いに話題になりました。考えてみると、ガイドが、「グエル公園」の坂道でも、「ホテルの回転ドア」でも、「プラド美術館の濡れた滑りやすい石畳」でも、「気をつけてください」とばかり言っていたのは、「もし滑ってもそれは気をつけなかったあなたの責任ですよ」ということを伝えていたのでしょう。スペインの人たちの言うことすべてが正しいわけではありませんが、私たちも「自己責任」についてもっと学ぶ必要があると思えてなりません。


道路にガソリン・スタンド

 私たちがジェトロを退出し、表へ出た時、わずか20〜30bの距離のところで、なんと「道路」上に、セルフサービスのガソリン・スタンドが設けられています。わが国では、危険物であるガソリンをこんな形で販売するなどというのは考えられないことで、正しく「自己責任」という現地の人の言葉が、何となく分かった気がします。


道路にあるガソリン・スタンド

列車爆破事件に見る国民性

 190人もの死者と1700人もの負傷者を出したマドリードの列車爆破事件は、今もなお深い痛みとして、スペイン全土の人たちに残っています。特に、首都のマドリードでは、写真のような「弔意」をしめす黒いリボンが飾られているのをよく目にします。
 また、この事件はスペインの政権を一夜にして崩壊させ、イラクへの派兵反対・ブッシュ政権の無謀なイラク攻撃を激しく非難しました。イラク戦争といわれますが、実態は大義名分のないアメリカのイラクへの一方的な攻撃です。わが国の自衛隊派遣も、「戦闘地域ではない安全な場所」であったはず。国民の政治への意思表示の違いが端的に現れていると思います。


 しかし、国民性という言葉だけで解決できる課題ではありません。スペインやアメリカ・イギリスのように、政権政党がだめだと思えば大胆に、今度は野党を政権につかせようとする考えには、それに応えられる政党が存在しているからです。小泉政権がこれだけミスを犯しているのに、国民の支持率が今なお高いのは、野党である民主党の存在そのものがまだまだ頼りなく、国民が政権を任せようということまでには至っていないからでしょう。私たち民主党が、一日も早く国民から信頼される政党にならなければと、決意を新たにしました。


このレポートについてのお尋ねは、下記へどうぞ。
 ・ 大阪府議会議員 中村哲之助事務所   Tel 072-844-8888 Fax 072-844-4444
 ・ 大阪府庁民主党無所属ネット議員団控室 Tel 06-6941-0219 Fax 06-6941-8411


出発・一路スペインへ(3/25)NGOが役所をリード(3/26)バルセロナ市の都市政策
移動日・グラナダへ向かう(3/27)スペインの農業と歴史を知る(3/28)首都・マドリードへ(3/29・朝)
1400支部を持つUDPを訪問(3/29・昼)JETROでスペインを知る(3/30)スペインとお別れして帰国(3/31〜4/1)
今回の視察で気付いたこと / このレポートについての問い合わせ先TOPへ