民主党無所属ネット議員団・スペイン行政調査団
大阪府議会議員  中村哲之助


(各画像クリックして頂くと拡大画像をご覧頂けます。)

首都・マドリードへ(3月29日・朝)


 セビリアで迎えた始めての朝、しかし、もう移動です。この日はスペイン新幹線=AVEで首都のマドリードへ向かいます。出発時刻の8時でもまだ少し薄暗く、日本の夜明けよりは約2時間遅い感じです。「マドリードは雪が降って、スリップする車が交通事故を次々に起こしているようですよ」と、ガイドの説明。今日は最高気温でもC7゜とか。

 5分余りでSANTA JUSTA(サンタ・フスタ)駅に着いた私たちは、スペインの今の置かれている状況に早速、驚きます。つまり、3月11日、多数の死傷者を出した首都での列車爆破事件以来、手荷物検査などがとりわけ厳しくなっているのです。飛行機に搭乗する時とまったく同じと思えば

間違いありません。写真のように、トランクはそれぞれAVEに乗車する本人が検査台へ持って行き、手荷物なども検査を受け、私自身は金属探知機を通過します。警察官か鉄道員なのかは不明ですが、モニター画面とにらめっこの職員は大変でしょう。この検査台の周囲には警察官1人、荷物を扱っている者2人、さらに空港と同じ麻薬担当の犬とその担当職員というように、列車に乗車する人の検査を、いくら安全対策のためとはいっても、これだけの人を配置するだけで、どれほどの余計な経費を必要とするか、本当に大変です。わが国でこんなことにならないよう、政治家の責務は益々重くなっていく気がします。

 スペイン新幹線(AVE)に乗車するのは勿論初めてで、列車の到着や発車を知らせる合図やアナウンスは一切ありません。ガイドから、「間違いのないように、早めに席についてください」と言われていたので、10分近く前に全員が乗車。日本の新幹線なら、発車の10分前くらいに駅へ着いていたら大丈夫ですが、混雑していたら検査にどのくらいの時間がかかるか分からないため、この国では40分程度は早く駅へ行くようです。
 AVE9619号は予定どおり、9時丁度に音もなく発車。数分経つと、周囲は一面、オレンジ、麦、オリーブに被い尽くされます。のどかな田園風景が続くなどというものではありません。わが国なら、どんな田舎へ行っても、2〜3分もすれば必ず「人家」があります。けれどもこのアンダルシアの平原は家一つありません。ようやく雨が上がり始めましたが、まだ雲に覆われ、良い天気ではありません。40分近く見なかった家が少し出てきたと思うと、9:41のコルドバ着を、不思議なことに、1〜2分前に知らせる車内アナウンスが流れました。しかし、出発を知らせるアナウンスは、ホームでも列車でも一切ありません。
 このAVEは結構「掘割構造」になったところが多いなとか、次第に高地になっていくためか耳がおかしいな、また雨が激しくなってきたなどと思いながら、11:30定刻に首都マドリード・アトーチャ駅に到着です。

アトーチャ駅

駅にあるオンセの宝くじ売り場
 ここでは早速、ホームレス対策を学びました。この駅の半分は、コロンブスが持ち帰っただろうと思われる熱帯植物を植え、熱帯植物園として一般市民に開放しています。また、冬でも大変暖かいことから、職・家のない人たちにコーヒーやサンドウィッチなどを無料で提供し、ここで寛ぐことも認めています。しかし、治安・管理の両面から、横になって寝ることを禁じているだけ(住居にだけはさせない)で、足を投げ出して何時間ここに滞在してもOKだとか。わが国とは大変な国状の違いです。また、ONCE=オンセ(3月30日の部分を参照)という制度による宝くじ売り場も見学しました。

現地ガイドの水久保氏は、「3.11被害者の皆さんに弔意を表したい」という我々の出発前の依頼に、「現場はすべて片付けられ、花などは置けなくなっている。今では駅の外に一部、地元の人たちが献花している所がある」と言い、そこへ案内していただきました。猛烈な雨が降り続いていましたが、亡くなられた方々のご冥福と、今なお負傷されている方々の一日も早い回復をお祈りします。


 首都のマドリードは標高640mにある人工的に創り上げられた町で、植えられた街路樹だけで25万本もあり、首都の65%は緑で占められています。1週間前はC24〜25゜もあり、泳ぐことさえできたのに、一転して寒波の襲来で、大変なようです。
 また、先頃のスペイン総選挙の結果と国民の思いがどんなところにあるのかなどの説明を一通り聞いた後、早速、UDP(Union Democratica De Pensionistas)訪問へ移動です。


出発・一路スペインへ(3/25)NGOが役所をリード(3/26)バルセロナ市の都市政策
移動日・グラナダへ向かう(3/27)スペインの農業と歴史を知る(3/28)首都・マドリードへ(3/29・朝)
1400支部を持つUDPを訪問(3/29・昼) JETROでスペインを知る(3/30) スペインとお別れして帰国(3/31〜4/1)
今回の視察で気付いたこと / このレポートについての問い合わせ先TOPへ