民主党無所属ネット議員団・スペイン行政調査団
大阪府議会議員  中村哲之助


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1400支部を持つUDPを訪問(3月29日・昼)


 スペイン全土に1400支部・85万人の会員を擁する、NGO団体のUDP(高齢者民主連合)には午後2:07に到着です。今回の視察団々長・大友議員の挨拶と、先の列車爆破事件の被災者への深い哀悼の意に対し、UDP役員のPaca Tricio Go'mez氏から、「視察を歓迎する。ぜひ私たちの運動を理解し、日本でも広げてほしい。また、哀悼の意を表していただいた皆さんの温かいお心に、深い感銘を受けた。平和な社会建設へともに力を尽くそう」と挨拶がありました。
 UDPのPaca Tricio Go'mez氏は、「誕生して27年にもなるが、この運動を進める中で、日本の介護保険制度も大いに勉強し、スペインの国に相応しい制度として、年々遅れているところを整理し、改革している。年金生活者・退職者の老後をどのように安定させるのかということが取組みの最大テーマだ」と述べ、団体が運営する高齢者への在宅サービス・施設サービスなどの内容を詳細に説明されました。最近では、(退職した途端にガクッとくる人が多いため) 退職者へのオリエンテーリングや、啓発活動・国連関係の文書翻訳などで忙しいようです。
(写真)UDP本部役員と握手する中村議員
 またUDPは、他団体などとの関係を抜きにして活動は成り立たないので、消費者団体・慢性病の会・赤十字・NGOなどとのつながりも深く、国の福祉関連評議会の副会長にも役員を派遣しているとのことです。

 レクチャーの後、アビラ県のオヨドピナーレスという地方(人口約3000人)にある高齢者の福祉施設Centro Mayores UDP De Hoyode Pinares(施設定員23人・入所者16人・職員14人)を訪問しました。都心から約1時間半の所にある何ともいえない静かな村です。  ヌリア施設長の案内で、施設の中をゆっくり見せてもらうとともに、医師・看護士・ヘルパーなどとの懇談の時間もあり、極めて有意義な訪問でした。
 この施設には常時、平均して、介護を要する人が65% 介護を必要としない人が35%という割合になっているようです。スペインではこの施設のように2人部屋が多く、ご夫婦で入所していることもよくあり、さらに施設の入所者が団欒の時間を多くもてるようにと、談話室・食堂が施設全体の割合から見れば広くなっています。日本の施設は個人のプライバシーを守ることに主眼を置き、個室が多く、また部屋も結構広くなっているのとは逆です。他は日本の施設と比較的よく似通っています。

(右写真)一番手前の皿は「どんぐり」を食べさせた豚の生ハムで、非常に高価なものです

 施設を一通り見学した後、施設長らはわざわざ、私たちを歓迎するとして「ミニ・ワインパーティ」の席を持たれ、ここでワインやコーヒー・ジュースなどをいただきながら、懇談が続きました。この席上、議員団からは、
  1. 入所者の平均的な所得や年齢、入所手続き
  2. 年金の体系と施設の運営予算
  3. UDPの運営資金と、ボランティアやメンバー確保策
  4. 本部スタッフの体制
  5. 国・州などの助成措置
  6. 夫婦で入所し、一方が死亡した場合の対策
 などを尋ねるとともに、年金の約80%がこの施設での必要額で、残りは個人個人のお小遣いにしていると聞き、入所者のゆとりを見た思いがします。

 私たちがこの日の視察を終えてホテルへ着いたのは、午後8時少し前になっていました。今日は本当に朝早くから丸一日、ハードなスケジュールでした。ホテルは今回の視察の中では一番グレードが高いと言う、Madrid Wellingtonです。



出発・一路スペインへ(3/25)NGOが役所をリード(3/26)バルセロナ市の都市政策
移動日・グラナダへ向かう(3/27)スペインの農業と歴史を知る(3/28)首都・マドリードへ(3/29・朝)
1400支部を持つUDPを訪問(3/29・昼) JETROでスペインを知る(3/30) スペインとお別れして帰国(3/31〜4/1)
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