’08.03.29.〜 04.05.
中村哲之助議員の訪問記
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スプリット市を訪ねる(4月 1日)
 この日はSPL市へ向かう飛行機の都合で割合ゆっくりとしたスタートであるが、2:30 〜3:00頃に目が覚めた。バスタブに湯を張っているのにどうも喉がおかしい。ミネラルウォーターの栓を開けて喉を潤し、用意してきた濡れマスクをしてもう一度休むと 6:00までゆっくりと眠れた。
 
 荷物を片付けて1Fのレストランへ行くと一人の議員もいない。日本人と思われる団体客が5〜6人ずつ固まって3テーブルを使っている。私は空いた1つのテーブルに座って食事を始めると、70才くらいの夫婦1組と同年代の女性1人の3人がやってきて、「座る席がない」と困っているので、「どうぞ」と言うと隣へ。男性が私を見て「議員のバッチか?」と言うので「そうだ、視察だ」と答えると、視察目的は何かなどといろいろ問いかけてくる。この人達は今日、日本へ帰るらしい。ドブログニク→ボスニアヘルツェゴビナ→マケドニア→スプリット→スロベニア→プリトヴィツェを回って、昨日ZAGに着いたようである。この人達は「旧ユーゴの内戦の悲惨さをガイドから聞き、激しかった戦闘地域の跡も見てきたが、すべて時の政治家の判断だ。政治の責任は思い。大阪へ帰られたら頑張ってください」と語られた。8:45私はいつもの定番の食事をとって部屋へ。9:00バッゲージダウン、9:30チェックアウト、10:00出発である。
 
 ただ、ホテルはなぜこうも高いのだろうか。カッターのクリーニングは35Kn(=770円)、ミネラルウォーター15Kn(=330円)だし、部屋に置かれていた料金表では、部屋代が175$、220$、260$などの価格が書かれていた。私の泊まった部屋がどのランクかは分からないが、この国の平均的な所得から考えると余りにも高いと思う。
 10:20ZAG国際空港に着いた私達は、トランクなどを預けて2Fのレストランへ。アメリカのブッシュ大統領が4日にZAGに来るということで、大変な警備体制を布いている。CRエアラインのOU654便は 12:00搭乗開始、12:30発が、約10分遅れでSPLへ向かう。私の席は9Bである。約40分の飛行で13:20にSPL空港に到着。SPL空港は本当に小さな地方空港で、荷物も5分くらいで出てくる。ここで、この日からの新たなバスに乗って昼食に向かう。
 
車中で長束氏はSPLのあらましを説明。ここの産業の中心は造船業で島が数多くある一方、山は2,000m級の石灰岩の山が大半で、そのため中腹以上では樹木が育たず、オリーブやぶどう、アーモンドなどが麓の方に多く見られるという。
 SPLはダルマチア地方に属し、現在は失業率が非常に高いが、スポーツはZAG以上に盛んであるようだ。ZAGからは紀勢線のような振子式電車が通っているが、約5時間30分を要し便数も限られているため、移動はほとんど車のようである。またここはホテル事情が非常に悪く、安いホテルもあるが治安上勧められないとのこと。私達の予定ホテルは絶対に大丈夫とのことで安心する。
 私達が訪問するスプリット・ダルマチア県(以下、SD県)の庁舎まではそんなに時間がかからないようだが、車窓から時々見える海岸線は実に美しい。30分ほどでレストランSUMICAに到着。14:00を少しまわっている。海岸縁に建っているので、10分ほど目の前の美しい景色を堪能。のんびりと「魚釣り」をしている人が何人か見られるが、水は澄み切っていて「魚からも釣っている人が丸見え」なのに釣れるのかなと思う。
 昼食のメニューはスープ、海の幸リゾット、フルーツサラダと聞かされていたが、このリゾットだけはいただけない。米の表面はお粥のような感じで軟らかいが、表面だけが軟らかく、中は芯がそのままで噛むと歯にひっつくし硬すぎる。味はシーフード風味で結構いけるのに残念だ。苦労して何度も何度もしっかりと噛んでほとんどを食べたが、消化不良で胃腸を壊さないかなと少し心配である。
 食事を終えた私達は、SD県の経済開発復興課を訪ねる。

・応接者 県経済開発復興課長 ボッツオ・シンチッチ氏
・テーマ 企業誘致と活性化について

 私達を迎えてくれたシンチッチ氏は「海外から企業・人が来て投資をしてくれること、とりわけ発展の著しい日本には誰もが好感を持っている。SPL大の教授達や企業の代表者も日本を訪問して造船技術をいろいろと学んだ。私からはSD県の産業と企業誘致などについてお話する」と挨拶され、具体的は施策の説明をされた。主な説明は以下のとおり。
 
  1. この県はCR国で面積が最も大きく、人口は第2位
  2. 約50年間、社会主義の厳しい時代を経て今、市場経済化へうまく適応できている
  3. 産業の中心は建材、造船、航海業、建築業
  4. CR国には6つの経済地区があり、SD県を経済特区として認めている
  5. ホテルが弱かったが、やっと4つ星クラスの建設が始まった
  6. 農業も観光も密接に関わっている。よいワインは海外へも出している
  7. 土地はまだかなり国のものだ。今あるホテルの10ヶ所は公売にかけられる
  8. 環境保全に努めないと観光事業も伸びない。ごみ焼却場をまもなく建設予定で、そのため日本にも専門家を派遣して勉強させている
  9. 水は豊かで水力発電が中心だが、将来的には太陽光発電をもっと広げたい。
  10. ファイナンス面では95銀行中、海外資本は93だ
  11. 外貨獲得に大きな役割を果たしているのに航海士がいる。これまで、SPL市から数十万人が世界へ出かけ、母国に外貨を運んでいる
  12. 海外からの投資も徐々に増えているが、是非日本企業にも進出して欲しい
議員団からは
  1. 天然ガスの経路はどうなっているのか。また、このことによってエネルギー供給が他国の政策によって影響を受けないか
  2. 造船、ごみ焼却場などはどういう調査を行っているのか
  3. 経済特区の範囲と業種はどの程度の広さか
  4. マグロの養殖のことを聞いているが、いつ頃からか。またそれによる環境汚染、財政的支援はどうなっているか
  5. 企業誘致のための具体策として、どういう方策を講じているのか
  6. 最近日本企業からのコンタクトはあったか
などを質問する。また、私が取り上げた企業誘致の具体策としては、投資額が多いほど優遇するとのことで、
800万ユーロ以上の投資額 → 法人税を10年間無料
        ただし75人以上の雇用を条件
400万ユーロ以上であれば → 法人税の1/2を減額
        ただし20人以上の雇用を条件
この県の日本への輸出は70億円で、その内90%はマグロのようだ。
 
 17:10に終了し、17:15バス乗車で近くの海岸リバ(海岸のプロムナード)へ向かう。ここはローマ帝国のディオクレティアヌス皇帝(245〜316年)の宮殿が置かれたところで、今もその威容を垣間見ることができる。かつては広大な敷地であったようであるが宮殿の部分以外は家が立ち並んでいる。
また、かつての宮殿と言われる部分にも一部、住居がある。 約1時間のフリータイムの中、 小さな店舗が軒を連ねる細い路地を散策し、18:45に集合。ところで私たちは、ここで去年にSPL市長が辞任せざるをえなくなった「事件」の現場へ案内してもらった。海岸プロムナードは多くの店が建ち並び、飲食店やブティックなどが繁栄していたが、辞任した市長が観光のため、地元の発展のためと、路面をピカピカにやりかえ、さらに大きなアーム状の庇を作りその下に多くの店を入れたという。
 ここを見学した私達が共通して感じたのは、なぜこんな美しい海岸沿いの昔ながらの風景を壊すような工事を市長がやったのだろうかということである。広い海岸道路などには多くの店が並び、客も多く入って互いに繁盛しているのに、市長がもっと美しく、もっと客を増やすという理由で、大規模工事を実施し、新しい近代的な店舗エリアを設け、新たにテナントを配したようである。ところがピカピカした路面(生コン)は雨が降ると滑り、さらに隙間に女性がピンヒールを引っ掛けるなどの苦情が寄せられるとともに、新しくできた店舗は当然、出店料(場所代)が高く、そのために飲食代やブティックの品物も50%くらい高くなった。その結果、客足は途絶え、テナントは撤退し、抗議の声で市長は辞任に追い込まれたとのこと。民意に反する行政はどこの地でも同じことが起きるのだなと改めて感じる。


私が「この国の郵便ポストは一体どこにあるのか」と言っていたが、ついにこのプロムナードでポストを見つけた。黄色の箱型で、壁に付けられた形式であるが、何かホッとした気がする。
 
 19:00からの夕食は、レストランVAROSでスープ、ローストチキンなどの料理。20:30に終わってバスに再び乗車してホテルへ向かう。ホテル(スプリット・メリディアン)到着は 20:50になっている。国友さんが、「明日は 6:30にモーニングコールで、7:00荷物回収」のメモを渡す。明日はSPLからドブロブニク(以下、DBV)へ専用バスで移動するが、約5時間近くかかるとのこと。
 私の部屋は667号室。部屋に入るとZAGのホテルとは大違い。SPLは国内からの旅行者も結構多いのにホテル事情が悪く、「安全性を考慮するとここしかない」ということだっただけに、どんなところかと思っていたが、心配は要らない。スリッパも用意され、コンセントも十分にある。セーフティーボックスも使いやすいが、こんないいホテルにたった一泊だけというのは「残念」な気がするが、観光で来た訳ではないので仕方が無い。
 バスタブに湯を張って久しぶりにゆったりと長く浸かった気がする。湯を沸かし緑茶を飲んで少し新聞を読む。他の議員はTV番組が‥‥と言っていたが、私は国内でも海外でも、ホテルに泊まってまずTVを見ることはない。府庁から届いたFAXが20枚程あるので、これを読んでいると1時間くらいすぐに経ってしまう。