’08.03.29.〜 04.05.
中村哲之助議員の訪問記
*各写真をクリックしていただくと拡大版をご覧頂けます。
 
ザグレブの福祉・教育(3月31日) ・・・ 
 6:00起床。外はまだ暗い。今日はZAG市を早朝から訪問する予定のため、身支度。湯沸し器でお湯を沸かし、茶を飲んでから少しだけでも散歩しようと、ホテルを出る。今ちょうど6:45。あたりはもう明るくなり、職場へ急ぐ人達がパラパラと見える。5〜6分も歩いていくと電車通りに出る。さすがにこのあたりは人が多い。新聞・雑誌を売る店も目立つが、とりわけトラム(低床電車)が引っ切り無しにやってきて満員状態でまた出て行く。5分程度、通勤ラッシュの状況をじっと見ていると、10本のトラムが運行されている。すごいものである。だからプラットホーム(道路とほとんど段差がない)にトラムが一台もないという状態が全くなく、乗降している間にもう次のトラムが入ってくる。これらを見ながら私は、公衆電話があるのを見つけ、昨日買ったばかりのテレホンカードで日本にかけてみる。0081-72-844-8888とかけるが、コールする音や早さも国内と何一つ変わらない。通話中に液晶画面の数字が少しずつ減っていくのがよくわかるが、1分程度話しても150円程度。本当に安くかけられる。いま7:30だから日本は14:30である。
  
 
 散歩からホテルに帰って朝食。今日も私の定番のコーンフレーク+牛乳、ヨーグルト、野菜サラダ(この日は特に温野菜)、玉子、ベーコン一切れ、フルーツ(すいか、オレンジ、メロン、りんご)とコーヒーである。私は海外での食事で、特に朝食がバイキング方式の時は絶対にと言っていいほど、肉をとらない。今日はおいしそうだったのでベーコンを一切れとってしまった。8:30にロビーに集合し、8:34バス出発。8:50にはZAG市庁舎前に到着し、早速、健康労働社会福祉課を訪ねる。

・応接者 ツボニミール・ショスタール 課長
ビシニア・フォルトナ 副長
ロマナ・ガリッチ 助手 他
・テーマ ザグレブ市の社会福祉活動

 ショスタナール課長は「ZAG市を訪問していただいたことを市長に代わって、心から感謝し、歓迎する。ZAG市は大阪に比べると小さな町だが抱える課題は共通しているものが相当あると思う。ZAG市はこの8年余りで改革への歩みを確かなものにしてきている。市長は3回連続で当選し、そのため施策はずっと継続し安定している。福祉・医療・年金などについて説明する」と挨拶。
 これに対し、調査団から「戦争後そんなに年月が経っていないのに、目覚しい復興を遂げられた。ご苦労も多かっただろう。とりわけ社会保障制度などについては大変だったと思う。大阪では少子高齢化が進み、保険や医療などの財源をどうするかなど、非常に苦労している。この国の首都であるZAG市の様々な施策をお聞きし、できるだけ大阪府政の推進に役立つようにしたい」と述べた。
  
 
 ZAG市からの説明と議員団からのやり取りを全て掲載すると紙面が足りないので、主なものを記載する。
  1. 貧困家庭への対策として、国とZAG市との役割分担
  2. 年金受給者の現状と予算
  3. 高齢者・失業者などへの交通費の無料化施策
  4. 老人ホーム・老人センター・交流センターなどの運営状況
  5. 少子化対策としての助成措置
  6. 介護を必要とする高齢者への方策を今後どうするのか
  7. 医療費の市民負担はどうなっているのか
  8. 福祉における官と民の役割分担はどうなっているのか
  9. ドラッグやバンジードリンキング対策はどうか
 
 これらの説明や質問などの後、ショスタール氏は「今年10月にZAG市でWHOの会議が開かれる。世界で健康都市と称する都市は30あり、ZAG市もその一つだ。この会議には世界の主要都市の市長らが来る。また、ノーベル平和賞のアルゴール氏もお見えになる。大阪市へも案内を出すので是非お越しいただきたい」と述べられた。貴重な時間を割いていただいた同氏は、脳外科の著名な現役のドクターとのこと。今後のご活躍を祈る。ただ、余りにも公共施設を建設するのに驚いてしまう。
 次いで私達は、別棟の教育文化スポーツ課を訪問した。

・応接者 ファイナンシャルマネージャー ズリンコ・ネムリナ氏
青少年担当ヘッドアシスタント ボジッツア・シムレシャ氏
教育課長 シリラーナ・ベルスラビッチ氏
スポーツ担当 ターニア・アリシッチ氏 他3人
・テーマ 青少年の教育・スポーツなどへの支援策



 
 ZAG市の訪問にあたって議員団から記念品を渡し、「今日は大変お世話になる。事前に調査項目をお知らせしているがよろしく」と挨拶。
 ZAG市からはボジッツア・シムレシャ氏が「今日は市長が出席できず申し訳ない。代表して心から歓迎する。ZAG市は人口約80万人だが周囲も含めると100万人くらいになる。ZAG市に17の区を置き、コントロールしている。また小中学校は区別がなく、8年間の一貫教育を進めている。119学校で69,000人が学んでいる。また幼稚園は59(民間でさらに40、宗教民族関係で別に5)高校は(15才〜18才まで)77あり、4万人が学んでいる。さらにチルドレンハウスという、地方などから来た人達用の全寮制の学校を15運営している。財政的な問題、教育プログラム、学校と地域のスポーツについては担当者から説明する」と挨拶された。
 先程と同様にそのあらましは
  1. 幼稚園、小中学校、高校の現状
  2. 教育費の費用負担で国とZAG市の割合
  3. 給食・教科書などの費用と負担
  4. 放課後教育(日本の学童保育)のあり方
  5. 授業の二部制
  6. メディア教育、交換入学、クラス編成
  7. 奨学金制度
  8. 学校と地域でのスポーツ活動と体育協会など
  9. いじめ、不登校などの実態
  10. 最近の子どもの体力
  11. 高校のコースとして、普通、工業、商業などはどうなっているのか
など、テーマ毎に詳細に述べられた。
 これらの説明と議員団からの質問を通じ、私達はCR国の教育施策は過度にカバーするのではなく、地域の人たちと協力しながら、特にスポーツを通じ健全な育成を目指していることがよく分かる。
 また、私の質問で、「いじめ」はやはりCR国にもあるが、「不登校」の子どもはいないとのこと。全くないということではないが、教員が家庭を訪れきっちりと説明し登校を促している。また不登校が続くとその親が罰せられるとのことである。
 さらに、2008年2月1日をもって徴兵制を廃止(昔は6ヶ月)したとの説明があった。これらの説明や質問が 12:20に終了し、教育文化スポーツ課を辞したが、ズリンコ・ネムリナ氏らから記念品として、青・赤それぞれのTシャツを1枚ずつと傘をプレゼントされた。私達は日本から持っていった「浮世絵の飾り扇子」だけのプレゼントなのにと、申し訳ない思いである。